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E資格は意味ない?プログラミング未経験者が取得してみた本音レビュー

Googleで「E資格」と検索すると、「E資格 意味ない」というサジェストが表示されます。せっかくE資格に興味を持っても、このようなサジェストが出てくると挑戦するかどうか迷ってしまいますよね。(私もそうでした)

そこで本記事では、プログラミング未経験の私が、実際にこの資格を取得してわかったE資格取得のメリットやよくある誤解について、本音で解説します。また、E資格が意味ないと言われる理由や、本当に意味がないのかについてもご紹介します。

E資格とは何か?

E資格の概要

E資格は、日本ディープラーニング協会(JDLA)が認定する資格で、ディープラーニング技術の基礎知識と実践力を証明する資格です。

JDLAは2017年に設立された協会であり、E資格も2018年から試験が始まった非常に新しい資格です。

対象は、主にAIエンジニアやデータサイエンティストを目指す人々です。

試験項目は下記5項目になります。

  • 数学的基礎
  • 機械学習
  • 深層学習の基礎
  • 深層学習の応用
  • 開発・運用環境

いわゆるAIの種類やそれぞれの仕組みを中心として、仕組みの数学的な理解や実際の開発環境など、AIを作る際に必要な幅広い知識が問われます。

受験者数・合格率の推移

下記は、E資格公式サイトに掲載されている受験者数と合格率のデータをグラフ化したものになります。

(データの出典:E資格公式サイト[https://www.jdla.org/news/20240308001/])

グラフを見ると、受験者数は毎回1000人前後、合格率は60~70%台で推移していることがわかります。

なぜ「E資格は意味ない」と言われるのか?

批判的な意見の背景

Google検索で「E資格 意味ない」とサジェストされるのは下記のような理由があると考えられます。

  • E資格の取得難易度が高い
  • AIに関わらないプログラマーには関連が薄い
  • E資格自体が新しい資格のため、まだ認知度が低い

まず、試験の難易度が高く、取得に多くの時間と労力を要するため一部の受験者が途中で挫折し、その結果として「意味がない」と感じるということが要因として考えられます。さらに、資格取得のためにはE資格の認定講座を受講する必要がありますが、その費用も決して安くはなく取得のハードルを上げる一因となっています。

また、E資格はあくまでAIに関する能力を証明する資格であり、AI技術に関わりのないプログラマーを目指している人にとっては優先度が低いという点も要因として挙げられます。

加えて、資格そのものが比較的新しいため、世間の認知度があまり高くありません。そのため、せっかく頑張って取得しても、AIと関わらない人にはそのすごさが伝わりにくいという点も、意味がないと思われてしまう要因なのかもしれません。

よくある誤解

E資格に関してよくある誤解を下記に示します。

  • E資格があればどんな企業でも通用する
  • E資格はプログラミング経験者向けの資格
  • 資格は持っていても実際の業務に役立たない

まず一つ目の誤解は、「E資格があればどんな企業でも通用する」というものです。AI技術の適用範囲は広く、企業ごとに求められるスキルセットも異なります。E資格取得はあくまでディープラーニングの基礎をカバーするものであり、特定の企業やプロジェクトに特化したスキルは別途習得が必要です。このため、E資格だけで万能と思い込むのは誤解です。

さらに、「E資格はプログラミング経験者向けの資格」という誤解もあります。確かに、プログラミング経験者の方が事前知識がある分勉強時間は幹かくて住むかもしれませんが、未経験者でもしっかりと学習すれば合格可能です。実際に、私自身も未経験からのスタートでE資格を取得し、その過程で得た知識とスキルは現在も大いに役立っています。資格取得を通じてAI開発技術の基礎を固めることができるため、未経験者にとってこそ取り組んでほしい資格です。

最後に、一つ目の誤解に関連して「資格は持っていても実際の業務に役立たない」という誤解があります。E資格はディープラーニングの基礎理論を理解し、実践力を養うためのものです。そのため、AIに関する全ての業務に必要な知識をカバーしているわけではありません。実際にAIに関する業務を行うためには、E資格の知識をベースとして、各業務で必要な知識を追加で学ぶ必要があります。しかし、E資格はAIに関する非常に幅広い領域の基本的内容をカバーしているので、E資格の知識をもとに発展的なAI技術を学ぶことで、前提知識がない場合に比べて非常にスムーズに内容を理解できるようになります。逆に言うと、AIに関する勉強をするのであれば、E資格で扱う内容は必須の知識ばかりです。

私がE資格取得を決意した理由

AIに関わる仕事に興味を持った理由

私は元々、AIとは縁もゆかりもない化学メーカーで研究をしていましたが、E資格取得を機に転職活動を行い、現在はAI技術に関わる仕事(マテリアルズ・インフォマティクス関連業務)をすることができています。そもそも、当時の私がAI技術関連の仕事に興味を持った理由は下記のような単純なものでした。

  • 収入が上がりそう
  • テレワークができそう
  • これからの世の中で需要がありそう
  • 化学と違って、PCさえあればいつでもどこでも開発ができる
  • ゆくゆくは、自分の代わりに働いてくれるAIを作って、自分は家で寝そべって暮らしたい

世の中で、AIの重要性が増しているのは皆さんも感じているところだと思います。それに伴ってAIエンジニアの求人は増えており、需要があるということで年収などの待遇もとても良いという状況です。実際に私も、AI技術に関わる現在の職場に転職することで、年収が1.8倍になりました。

また、私は化学系の研究業務についていたのですが、業務には実験が必須なため、コロナが流行していた時期でもテレワークをしたことがありませんでした。そのため、テレワークへの憧れもありAIの勉強を始めました。

そしてゆくゆくは、自分の代わりに働いてもらえるようなAIを作って、私は家でのんびり暮らすのが現在の目標です(笑)

AI関連資格の中でもE資格取得を目指した理由

「AIの勉強を始めるぞ!」と決意したものの、当時の私はプログラミングのプの字も知らない状態だったので、何から始めればいいのかわからない状態でした。まずはプログラミング能力を上げればいいのかとも考えましたが、プログラミングを専門業務としているプログラマーの人には、到底追いつけないとも感じていました。そのため、まずはAI全般の知識をつけようと考え、下記の条件を満たせるような勉強内容を探しました。

  • AIの知識を修得したことを証明できる(転職活動時にアピールできる) ⇒ 資格の取得
  • プログラミング未経験でも、1年で取得可能。
  • AIに関する一通りの知識を、基本から学べる。
  • 資格取得後には、AIを自作できる技術を修得で来ている。

AI関連の資格として、他には下記のようなものが挙げられますが、プログラミング未経験の状態から実際にAIを作る技術を勉強したいのであれば、E資格が最適だと判断しました。

  • 基本情報技術者試験:AIというよりは、IT全般の知識が対象。AI開発をするにはAI関連の知識が不足(実際にAIを作れるようにはならない)。
  • G(General)検定:E資格と同様にJDLAが実施。E資格がエンジニア向けなのに対して、G検定はジェネラリスト向け。E資格を広く浅くしたイメージ。
  • AI実装検定(S級、A級、B級):E資格の対抗馬。A級以下だとAI実装の知識が不足。S級は未経験者には難しい。
  • 人工知能プロジェクトマネージャー試験:AI'技術'というよりはAI'開発'、特にマネジメントにフォーカス。チームのAI開発を主導する人向け。
  • AWS認定資格:実務経験者向け(AWS クラウドでの ML/深層学習ワークロードの開発、設計、実行における、最低 2 年の実務経験)

この中で、当時の私がE資格以外に候補として挙げていたのはAI実装検定(S級)です。難易度の順番としては、

AI実装検定(S級) > E資格 > AI実装検定(A級) > G検定 > AI実装検定(B級)

のような順番といわれています。A級だとAI実装技術が不足していますが、S級だと未経験からの挑戦は少しハードルが高いように感じました。

E資格は試験の難易度は高いものの、受験要件としてE資格認定講座の受講が必要なため、初心者でも講座で基礎から学ぶことができるという点でE資格から始めるのがおすすめです。

また、AI実装検定よりもE資格の方が知名度があるというのも選択の理由の一つです。

プログラミング未経験からE資格取得までの道のり

学習のステップと使用した教材

プログラミング未経験の状態からE資格に合格するまでの私の道のりは、大まかに以下の通りです。

  1. E資格認定講座に申し込む。
  2. 講座でE資格の出題範囲を軽く確認し、全体像のイメージをつける。
  3. 講座を進める。(python ⇒ 数学 ⇒ (中だるみ期) ⇒ 機械学習 ⇒ 開発・運用環境)
  4. E資格の模擬試験を受験し、実際の問題のイメージをつける。
  5. 受験本番。

E資格合格のためには、基礎的なプログラミングの知識(python)と、機械学習の知識が必須です。また、機械学習のメカニズムを理解するための数学や、開発環境の知識も少しだけ必要です。E資格認定講座の中には、試験に必要なpythonや数学の知識をカバーしているものもありますので、初心者の方はそのような講座を受講するのがおすすめです。

ちなみに私も、数学は中学レベルで止まっており、そのほかの知識は全くない状態でしたので、講座を利用しながらE資格の出題範囲をゼロからじっくりと勉強しました。
そのように、前提知識が全くない状態から合格に要した期間は、私の場合約1年間でした。
「1年間」とは書きましたが、途中でサボってしまった期間が合計で3ヶ月ほどあったため、実際には9ヶ月程になります。

途中で感じた挫折とその克服方法

私がE資格の勉強で最も苦戦したのは、「深層学習」分野の各モデルの仕組みや特徴を理解するという点でした。

「深層学習」の分野は出題範囲が非常に幅広いにもかかわらず、それぞれのモデルが複雑であり1つのモデルを理解するのに2,3日程かかってしまっていました。
そのため中々勉強が進まず、焦りでかなり追い込まれました。

そんな中で私は、下記の方法で乗り越えることができました。

  • 予め、大幅に余裕を持ったスケジュールを立てる。(受験回の後ろ倒しも検討)
  • 多少時間をかけてでも、自分に合った解説を探す。(参考書・youtube動画・ブログ記事等)

スケジュールに関しては、勉強している途中で到底間に合わないと感じたため、当初の受験予定を遅らせることで対応しました。(笑)
参考書を「1日〇〇ページ進める」という計画を立てると、深層学習の後半から大幅に遅れが生じてしまうので、注意してください!

また、自分に合った解説を見つけるというのも非常に重要でした。
勉強し始めの頃、口コミで評判の参考書を使っていましたが、私には解説が難しすぎてしまったため、内容を理解するのに大幅に時間がかかってしまいました。
そこで、藁にも縋る思いでネットを検索したところ、ブログ記事やyoutubeにわかりやすい解説が沢山ありました。
そのため、多少時間がかかったとしても、自分に合った解説をしてくれるブロガーや動画配信者の方を見つけ、
難しい項目はその情報を起点に勉強を進めるのが効率的です。
その解説でも理解できない場合は、再び新たな解説者探しを行いましょう。

E資格取得の実際のメリット

年収UP

先述したように、私は元々「AIエンジニアは需要も将来性もあるから、年収が上がりそう!」というような考えでE資格取得を目指しました。
現実に、AI関連業務の需要は伸びており、実際に私はE資格を取得した後に転職をすることで、年収を1.8倍まで増やすことができました。

AIに関する知識や技術を客観的に証明できる

いかに独学で勉強してAIについての知識を身に着けても、転職などの際にその知識を証明することは難しいです。
実際に、転職エージェントからも「何らかの資格として保有していないと、保有スキルとしてアピールするのは難しい」と言われていました。

E資格を取得することで、面接の際にもAIの知識をアピールすることができ、転職の際にも大きな強みとしてアピールすることができました。

AIという強力なスキルを身に着けることができる

AIエンジニアに対する需要が高まっていることは先に述べたとおりですが、AIエンジニアに限らず、AIのスキルは非常に強力なものです。

特に、AI以外の専門分野やスキルを持っている人は、そのスキルとAIを組み合わせることで、さらに貴重なスキルを身に着けることが可能です。

例えば、ExcelやVBAなどのオフィススキルだけではなく、イラスト作成や農業などのありとあらゆるスキルは、AIと組み合わせることで新たな技術を生み出すことが可能です。むしろ、AI以外のスキルを持っている人こそがAIを活用して、誰にも真似のできないスキルを身に着けることができると考えています。

実際に、私の専門分野は化学なのですが、化学とAIの両方のスキルを持つ人材は少ないため、現在の会社に就職することができました。

E資格は本当に意味がないのか?結論

E資格を取得する過程を通じて私が得た結論は、この資格は確かに意味があるということです。
プログラミング未経験からスタートし、苦労しながら身に着けた知識やスキルは、単なる資格の枠を超えて私のキャリア全体を豊かにするものでした。
E資格取得を通じて、ディープラーニングの理論や実践的な技術を深く理解することができ、これが日々の業務や生活において大いに役立っています。
この資格を目指すことを躊躇している方にも、自分の成長を信じて挑戦してみることを強くお勧めします。

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